お姫様の憂鬱

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「日奈、明月はまだ五歳だよ。そんなに責めないで。蓮に無断で連れ帰った私が悪いんだから」 「そうよ、ママが一番悪い。何が誘拐犯よ!ふざけないで!私がどれだけ心配したか…」 「ママぁ…うわぁ~ん!もうイケないことしないから、ママがいい」 「ばかね、明月。早くそう言いなさい。ママだって、明月と離れたくないよ。パパに渡したくないよ」 母が泣きながら、明月を抱き締めた。 「ママ、おうちに帰っていい?」 「当たり前でしょう。明月と聖奈とママのおうちなんだから」 母が小さな明月の頭を、何度も何度も撫でた。 大切な家族… あたしの大切な…妹。 「パパに電話しなきゃね」 「明月がパパとお話する」 「そう?」 明月は蓮に電話し『ママと一緒に暮らす』とハッキリ断言した。蓮とママの間で長時間話し合いは続いたが、『明月の意思を尊重すること、蓮は自由に明月に逢えること』その条件を約束し、二人の話し合いは無事に終わった。 誘拐犯の祖母は、警察に謝罪し、母にこっぴどく叱られ、どっちが親なのかわからない位、小さくなっていた。 元暴走族の祖母も、母には勝てないらしい。
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