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みんなに祝福された、晴れやかな卒業式。
「…玲央、お願いがあるの。制服の第二ボタンちょうだい」
「うん」
俺は制服のボタンを引きちぎり、優花に差し出した。
「ありがとう。大切にするから。玲央…頑張ってね。さようなら…玲央」
優花は小さなボタンを、大事そうに握りしめると、俺に背を向けた。
優花と俺の三年間。
俺の傍には、いつも優花の笑顔があった。
優花を傷付け、泣かせたのは俺だ。
満開の桜…
俺達はこの木の下で出逢い。
この木の下で別れる。
俺達の卒業式。
俺と優花の…卒業式。
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