王子と姫のKIMOCHI

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まゆ姉ちゃんの手には、手料理の入った重箱。ボスの手には日本酒の一升瓶。 そこに、玲央の姿はない。 「兄貴、玲央は?」 「玲央はあとで来るってさ。今荷造りしてるよ。明日から九州だからな」 「いよいよ明日か。しかし、兄貴の息子が歯学部だなんて、トンビが孔雀だぜ」 「トンビが孔雀?なんだそれ、玲央がめっちゃイケメンてことか?」 司兄ちゃんもボスも、兄弟揃って頭のネジが緩いみたいだな。 それを言うなら、『トンビが鷹』だよ。 玲央が来ていないことに、あたしは少しだけ安堵し、少しだけ寂しい。 玲央にどんな顔をして逢ったらいいのか、わからない。
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