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響の唇が愛梨奈から離れる。誰も唇が触れたことを、とがめたりしない。
「はい、カット。オーケーです。次のシーン続けて撮影します」
愛梨奈は俺と視線が重なると、慌てて目を逸らした。愛梨奈の顔が一瞬歪み、大きな瞳から涙が零れ落ちた。
「マリナちゃん?ごめん、驚いたかな?台本はキスする振りとなっていたけど、やっぱりこのシーンは、キスしないとリアリティーに欠けると思ったんだ」
「…聞いてないよ」
「えっ?君も女優なら、その場の雰囲気でわかるだろ。演技だよ?キスくらい当たり前だろ。ラストにはベッドシーンもあるんだぜ」
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