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「泣いてるの?」
上からふってきた優しい声に、少女はびっくりして起き上がる。
目の前には黒い髪の青年が立っていた。青年は少女の右手に黄色い花があるのを見て明るくはにかむ。
「ねえ」
青年は、少女と向かい合うようにして芝に座る。手元に咲いている黄色い花にそっと触れて呟いた。
「花は、好き?」
少女の頬の雫が日の光に照らされて小さく光る。
それは、少女が何度も思い出している大好きな人の言葉だった。
‐‐‐
薄桃色のカーテンが風に揺れる。
開け放された窓の向こうには緑いっぱいの丘があり、小さな黄色い花が一面に咲いていた。空は青く澄んでおり、小さな綿のような雲がぽつぽつと浮かんで風に揺られて漂っている。
その空の下で、大きな風車を回す赤い屋根の家。小さいため一見小屋のように思える。
その家にとって唯一の広い窓は開け放され、風がテーブルの上にある読みかけの本をパラパラとめくる。
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