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花びらが花の半分あるかないか、というときに花びらをちぎろうとした少女の指がぴくりと震える。窓枠にある小瓶の中身は、一目で分かるほどに減っていた。
少女はそっと首をかしげて何かを少し考えてから、再び小瓶に手をのばす。しかしカタカタと震える少女の手は瓶に届くことはなく、ほんのり赤い指先だけが瓶を揺らしただけだった。
ガラスの割れる音が、静かな部屋に響き渡る。瓶の中に入っていた白いカプセルは、逃げるように飛び散った。それをゆっくり見届けて、少女は満足そうに微笑む。
腰かけていたベッドから立ち上がり、そっと布団をつかんで思い切り高く上げた。白い布団に溶け込むように居座る濃いピンクの花びらを目一杯部屋で踊らせて、大きなガラス窓に手をかけ開く。
薄桃色のカーテンが濃いピンクの花びらと共に自由に揺れる姿を、布団に入ってじっと見つめる。それから、枕に顔を沈めてゆっくり目を閉じた。
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