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「誰が降参なんか…っ」
降ってくる斧を飛び退いて避けながら彼は言った。
ナイフでは斧を受け止められない。だから避けてから隙を見て脇腹を突こう、とざっくりとした作戦を立てていたのだが、いまいち上手くいかない。
「避けてばっかじゃん?」
その顔に貼りついた笑みは消えない。死神は名をジェイと言った。
「黙れ!」
彼はナイフを構え、死神ジェイの脇に走り込む。
しかし、視界に斧の柄が飛び込んできたと思うと、考える間もなく頭に鈍痛が走った。
彼は倒れて地面に転がる。
死神は余裕綽々としてこちらに歩み寄る。手足を出来る限り動かし、這うようにして距離を取った。
「降参してもよくない?」
立ち上がると流れ落ちる血が一筋、目に染みる。
…一騎討ちになったのには、理由があった。
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