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アタシは相武史織(あいぶ しおり)、高校2年生。剣道部と弓道部を掛け持ちという、少しばかり運動に力を入れてる学生だ。
それ以外は決して他の高校生と変わらない。そう思っていた。
「史織!今部活終わり?一緒に帰ろうよ!!」
「あぁ、いいよ。」
彼女は紺野愛(こんの あい)。1年からずっと同じクラスで、あまり積極的にクラスの輪に入れないアタシをよく遊びに誘ってくれる稀有な子だ。校則違反ではあるがよく似合っている茶色の髪を女性らしく巻き、もともと大きい目をいつもびゅーらー?とやらで綺麗にそろえている。女のアタシが見ても可愛いと思う彼女は当然学園でもモテる。実際、よく告白されている。いやはや、青春だn…
「ちょっと史織?何ぼーっとしてるの?」
「ん?…あぁ、ごめん。愛が可愛いなとしみじみと思ってたんだ。」
「…っ!史織好き!愛してる!」
いくら愛が小さいからと言っても、いきなり抱きついてこられるとさすがに少しよろめ…かなかった。そんなにアタシの体はやわじゃなかったようだ。
「うわっ、ちょ!どうしたの?いきなり。」
「それだけイケメンならファンクラブ出来るのも納得だわ…」
「?何の話?」
「史織、自分がファンクラブ出来る程のイケメンっぷりだってそろそろ気づきなよ?」
「…ふぁんくらぶ?」
「もしかして、気配すら感じてなかったの?」
「気配…?最近は悪い輩もいないと思うけど…」
「そうじゃなくて!…はぁ。」
「ため息なんてついていたら、せっかくの可愛い姿の魅力が減ってしまうぞ?」
「だーかーらー!!そういう事なんだって!!」
「…どういう事?」
いつまでも平行線なアタシたちの会話をいつもまとめてくれるのは愛。成績の良い愛はいつも要点をまとめてさっさと分かりやすく伝えてくれる。感謝だ愛。
「要するに、史織って女の子よく不良とかから守ってあげてるでしょ?」
「あぁ。」
「その姿がそこらへんにいる男どもよりよっぽどカッコいいって、女子の間じゃ話題になってるの。」
「へぇ。」
「おまけにそのスタイルの良さ、無自覚な女子への褒め言葉。…一部じゃ史織はアイドルに負けずとも劣らないカッコ良さを兼ね備えているって事になってるの。」
「なるほど…って、アタシが話題に?!」
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