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「あのさあ、和久井」
「んー」
「……具合悪い時に申し訳ないんだけど……」
梶田の口調が改まったものに変わったので、俺は思考を断ち切って枕から頭だけ上げた。
「なに」
「消灯時間になったらちょっと俺、抜け出したいんだよね。
万が一センセー来たら、うまく言っといてくんねえ?」
「おう。いいけど。どこ行くの」
「彼女んとこ」
「……」
……なるほど。
さっきからやたらそわそわしてんなーとは思ってたけど、そういうことか。
「分かった。まあ、ないと思うけど、もしバレたら適当に言っとくわ」
「サンキュ」
照れたような笑顔につられてこっちまでニヤケながら、俺はのぼせて火照った頬に冷たいボトルを当てた。
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