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『あ、宮園くん』
亜優が宮園に向けた、……あの頃よりずっと大人びた、俺の知らない笑顔。
あいつも俺と同じ気持ちでいると思い込んでたけど、……考えてみたらそんな保証はどこにもないんじゃないか。
もしも亜優が、すでに今より少しだけ先の世界を見ていたとしたら。
もしも亜優が、――俺の気づかないところで、他の誰かに惹かれていたとしたら。
自分ひとりがこの場に立ち止まり、亜優の背中を見送っている画が浮かび、急に心細くてたまらなくなった。
いつまでも子供のつもりでいたのは、――もしかしたら、俺だけだったのかもしれない。
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