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「遼平、もしかして何か余計なこと言って……」
「ないよ」
「私、知ってるもんっ!」
ウソツキさんとお兄ちゃんの会話に無理やり割って入る。
震えた唇は、それでもハッキリとその場に声を響かせた。
3人とも一斉に、私に注目する。
「知ってる、って何を……」
「昌さんと別れた理由も、昌さんの今の気持ちも」
怪訝な顔で聞いてくるお兄ちゃんに、私は即答した。
「……」
再び訪れた沈黙に、私は変わらずスカートを握り締めた膝の上の両手を見つめている。
今にも落ちそうな目のふちの水滴が、キラキラと視界を歪ませた。
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