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沙織さん、立場的に複雑だろうな、と思いながらも、この話題になんとなく気が重くなる。
「あの日、昌と会う約束してたからさ、びっくりしちゃった。
事後報告だけど、夜に昌から電話がきて」
「はい……」
私は重い口を開き、やっと声を出した。
「あ、お兄ちゃんはこのこと知らないから、安心してね」
それを聞いて、ちょっとホッとする。
「美亜ちゃんにひどいこと言った、って泣いてた。昌。
合わせる顔が無いけど、落ち着いたら直接謝りたいって」
「……」
直接……会う……。
あの事が尾を引いて、ウソツキさんに会うのも躊躇われるのに、私は昌さんとちゃんと会うことができるのだろうか。
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