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あー……。
何やってんだろう、ホントに、俺は。
俺が渡したチョコをぶんぶんと振ってから軽く会釈をし、くるっと振り返って反対方向へ走っていくオオハシの姿。
それをぼんやり見ながら溜め息を吐く俺。
まだ朝なのに、一日分の活力を使い切ったような心の疲労感。
まだ少ない車が通り過ぎれば、風が起こって俺の髪と心を乱す。
ああいう、真っ直ぐで爽やかで、歳相応な男の方が、彼女を幸せにしてくれるのかもしれない。
歩き始めた足が、ジャリ……と小さな石を踏む。
「ハ……」
チョコレートなんかで治るんなら、有り金はたいてでも持っていくよ。
皮肉じみた思考に力無い笑みを浮かべ、俺は重い足を家へと引きずった。
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