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頬から耳を通って後頭部へ伸びたウソツキさんの手。
体勢を少しずらして片肘をつき、私の方へ体を浮かせている。
何度も何度も、離れては触れ、触れては離れる唇。
まるで触れられることを繰り返し確かめているようなその行為に、温度が上がっていく互いの唇。
私は、彼のキスにちゃんと応えようと、前のめりになっている体を、もっと丸くする。
髪が両サイドのカーテンみたいに、二人の顔を隠した。
「美亜」
何度も繰り返されるキスの合間に呼ばれた名前に、私の目からはまた大粒の涙が溢れてきて、「うぅ……」と声が漏れ、子どもみたいなベソかき顔になる。
きっと私の涙で、ウソツキさんの顔もぐちゃぐちゃだ。
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