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『やっとだね』とか、『嬉しい』とか、『信じられない』とか、そんな言葉は無く、2人で目を合わせてはふっと笑い合う。 それだけで、私たちは幸せを十分に共有できた。 「そろそろ送ってくね」 「え……。もう?」 時計を見ると、すでに9時45分になっていた。 立ち上がって、財布とケータイをパーカーのポケットに入れるウソツキさんは、 「このまま一緒にいたら、アナタのおかーさんにもおにーちゃんにも、顔向けできないことしちゃいそうだから」 と、横顔で笑う。 「いいのに」 即座に返した私の言葉に、そのままの顔と姿勢で固まるウソツキさん。 私は、何も考えずにするりと口の隙間から出てしまった言葉に、いまさら口を覆う。
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