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「なんで?」 シートベルトを外してシートを倒し、んー、と伸びをしたウソツキさんが、ふっとこっちを見る。 少し疲れたようなその表情が一層大人っぽく見えた。 「だって、スーツ姿とか初めて見るし」 「似合ってる?」 「なんか私がガキくさく見えるから、……ヤダ」 「ハハ。 今に始まったことじゃないよ、それ」 ウソツキさんは笑ったけれど、私はやはり何かいつもと違う変な違和感を覚えた。 「……さっき、電話でも聞いたけど、何かあった?ウソツキさん」 「……」 エンジンも切って、静かな車内。 曇っているらしくて、星は見えない。 「嫌なこととか……」 「無いよ」
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