第2話・雨はまだやまない

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下手くそなバンドマン。ありふれた夢を熱っぽく語る野暮ったさ。 でも彼は真っ直ぐなんだ、と思えた。 これをきっかけに、ふたりは付き合い始め、やがて彼女のアパートで同棲を始めた。 その交際は大学を卒業してからも続いた。 頼子が就職したあとも、彼は相変わらずフリーターのバンドマン。 絶対ビッグになるという言葉を信条とするかのように、彼はずっと真っ直ぐだった。 頼子はそれでも幸せだった。 生活を支えたのは彼女だったが、彼は雨が降るとまるで忠犬のように駅で帰りを待ってくれていた。 たった一本の傘を持って。 しかし月日が経つごとに、ビジュアル系バンドブームは過ぎ去り、30歳を目前にした頃には、頼子も結婚を考え始めた。 敏之も自分がビッグになれない事を、もう分かっていたような気がする。
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