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「なんだよ!! かっこつけちゃってさ」
「全部話せよ!! あ、なんかネタ見せろって!!」
そうだそうだ、と周りが騒ぎだす。
「ごめん、俺、コンビだからさ。 一人だと何もできないんだよね……」
「なんだよ、つまんねーなぁ。 相方がいねーと何もできないのかよ」
カチンときた。
ネタを書いているのは俺だし、構想を練って動きを考えたりするのも俺だ。
それでも、ぐっとこらえる。
ここでブちぎれて週刊誌にでも載ったらそれこそ面倒くさい。
「まぁまぁ、みんな。 いいじゃない。 今日は同窓会なんだもん、楽しくやろうよ」
麻里子の一言でみんな散っていく。
そして席の一番端に小さくなって座っていた俺に、彼女は近づいてきた。
「なんか元気ないじゃん? どうかしたの?」
「別になにも……」
「嘘をつくんじゃないわよ。 分かるんだから」
俺は何も答えなかったけれど。
この場に菅井がいないだけましだ。
あの、進路希望調査の時の光景を、今まで忘れたことが無い。
あの、真剣な表情で自分を見つめる菅井の視線を、忘れられる奴なんかいない。
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