王道転入生

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「きょ、今日の夜空いてますかっ!」 顔を赤らめながら大きな声で言う男。 それを聞いた群の男達は、もの凄い形相でこちらを見た。 こうゆう時だけ男らしいな… 目の前の男が言う“空いてますか”は、簡単に言うと“ヤりませんか”と言う誘い。 俺は男を抱く趣味も抱かれる趣味もないから毎回断っているのだが。 『ごめんなさい……僕、今日は仕事をしなくてはならないんです。』 申し訳なさそうな顔を作り謝る。 まあ、仕事があるのは嘘では無い。 俺が唯一親しいと思う友人の小説の感想を送らなくてはならないし、自分の王子様キャラが崩れないよう練習しなくてはならない。 「そ、そうですか……」 シュンとしながら呟く男。 その頭を優しく撫で、出来る限り優しい声で言う。 『きっと他に良い人が見つかりますよ。…ごめんね』 「い、いえっ!///」 男は顔を赤らめながら群へと戻っていった。 因みに、最後だけ敬語をはずしたのはわざとだ。 『はぁ……疲れた…』 俺のため息と呟きは、誰にも聞かれず消えていった。
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