破片の話

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「状況を整理しよう」 2年の東海 皐月(トウカイ サツキ)に視線が集まる。 「13時20分頃… 北川 悟(キタガワ サトル)が3年3組教室に行き、南 芹菜(ミナミ セリナ)から鍵を受けとり、家庭科室に向かう。 14時頃… 北川 悟が家庭科室の鍵を閉め、西井 京太(ニシイ キョウタ)に渡す。 14時50分頃… 僕と犬養 蛍(イヌカイ ケイ)が家庭科室の前を通ると、窓ガラスを片付けているサッカー部員がいた。 13時から14時までの間… 校内をサッカー部がランニングしており、部員全員が、『ガラスの割れた音を聴かなかったし犯人を見なかった』と証言した…」 「そういうことになりますね」 2年の犬養は東海の横からメモを覗きこみながら言う。 3年の北川は壁に寄りかかる。 「おい、ガラスの落ち方がおかしかったから、俺達が集められたんだよな」 「はい、そうです」 犬養は説明する。 「ガラスは廊下に散らばっていました。 つまり、『家庭科室の中から廊下に向けて』ガラスが割られたという事になります。 北川先輩は14時頃鍵をかけたので…」 3年の南は眼鏡の位置を少し上げる。 「14時以降、家庭科室は密室だった。 ガラスが割れるなんてありえないわけね」
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