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別に普段からこういう趣味があるわけじゃない。
普通のことを普通にするだけで気持ちいいし満たされるし、俺はそれで幸せだ。
ただ。たまに。
ごくたまに。
よく判らない衝動が湧き上がってくるだけの話で。
誰にも陽香を取られることはないって、判っているんだけど。
──それでも。
俺じゃなきゃ駄目だ、という領域を彼女の中に造りたい。もっと。
「あ、駄目、こんな……」
言葉で抗おうとはするものの、陽香は無茶な抵抗はしない。だいたいのことは、必ず受け入れてくれる。
それをいいことに、括りつけた陽香の両手を彼女の頭上に持っていき、片手でそれを押さえた。
もう片方の手で陽香の顎を上向かせるようにし、その口唇を塞ぐ。
「……ッ!」
ビクッと動いた陽香の身体。
キスに応えようとした彼女から逃れ、わき腹をさすりながら衣服をたくし上げる。
「あ……」
くすぐったいわけじゃないのは判っていた。
陽香が思わず居眠りをしてしまうくらい部屋が暖かいから、遠慮なく晒されたお腹に口唇を這わせる。
そのままずりずりと服を上げ──ブラの上から胸にキスをした。
「仁志くん……やだ……」
「なにが、やだ……?」
陽香が即答できない質問を投げかけて、次は鎖骨に口付ける。
これ以上服を上げると顔を覆ってしまうので、ここまでだ。
すると、焦れたように陽香が身を捩る。どこか痛いのかと押さえる手を緩めると、陽香の腕が俺の首をスポンと包んだ。
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