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「……あたしだって、仁志くんのこと、こうしたい」
言うと同時に、陽香の太ももが俺の足をぎゅ、と挟む。
無意識なのか確信犯なのかは果たして微妙だ。
でも、これは……やらしい。すごく。
ものの見事に煽られて、俺は彼女の身体をまさぐりながら挟まれた足をグッと押し付ける。
「あ……っ」
デニム越しでも、彼女の奥深くの花弁がよじれたのが判った。
声、聴いていたいけど……キスもしたい。とことん欲張りになってしまうのは、俺が悪いんだろうか。
口唇と、両手と片足と。
こんなに駆使することは、さすがになかなかない。
陽香の口唇を開かせて、舌を挿し込む。唾液の絡まる音とくぐもった声。
俺の頭を抱きしめる腕が、次第に締め付けてくる。
──ああ、もう駄目だ。
めちゃくちゃに翻弄してやりたいと思うのに、途中で陽香にこうして応えられる度、いつもふつりと意識が途切れる。
何度も、何度でも陽香を抱きたい衝動と欲求が止まらないのは、こうして夢中になりすぎて、あまりちゃんと記憶に残らないからだ、と思う。
だってちゃんと覚えていたら、人間、だんだんそれが珍しくなくなっていくだろう。
夜が来たら、ちゃんと朝が来る。それが当たり前になってしまっているように。
でも、この時間は未だに俺にとっての特別で、非日常。
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