矛盾:contradiction  Case/Hitoshi&Haruka

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   とっくにこの恋に冒されて、ピンク色の……何だろう。やわらかくてキラキラしたもの。  わたあめ……いや、なんか違う。  ……例えば、ピンク色のオーロラの真下にいる感じなんだろうか、俺。  あまりにもメルヘンな自分の思考回路に、一瞬はたと動きが止まる。  やっぱり、幸せだと思考回路まであったかくなるんだろうか。  陽香のいなかった時間は、真冬のようだったと思う。  自分で自分のことを「馬鹿だな……」と思うときも、あるにはあるんだけど。  今は、こんな自分のこと、嫌いじゃない。むしろ、人間なんて少し馬鹿なくらいの方が可愛げがあるだろ、なんて広い心でそう思える。  まあ、本当に馬鹿でも困るんだけど。  止まらない思考のループに、思わず我に返ってしまった。  今日はもうとりあえず、陽香のシチューをお腹いっぱい味わいたい。そして、あったかいベッドの中で早々に眠ってしまおう。  もちろん、陽香をだっこして、ね。  -fin- .
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