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鈴太が部屋を出てから制服に着替える。
最初は憂鬱だったのにな、
なんて思い出しながらブレザーに腕を通す。
着替え終わった後は
ホワイトデーに太狼センパイからもらった
香水を少量首筋につける。
センスのいいキツすぎない香りは
お気に入りで毎日つけている。
…香水は嫌いだったのにな、
どんどん変わっていく自分に不思議と嫌な気はしない。
「…いい香り。」
ほとんど何も入ってない鞄を持って階段を下りて
洗面所へ向かう。
顔を洗って簡単に髪をセットする。
鏡はほとんど見ない。
人相の悪いこの顔はあまり好きではない。
そのままリビングへ向かう。
ガラ、
「…はよ、」
「あ!おはよーきーちゃんっ!!」
戸を開けば最近 毎朝一緒に朝飯を食べている
桃に笑顔で迎えられる。
この瞬間はたまらなく好きだ。
美味しそうな匂いに誘われて席に着くと
皿の上には俺の好きなフレンチトースト。
「ははっ今日は軋樹の好きなフレンチトーストだぞーw」
見透かしたような声にイラッとしたが
今は機嫌がいいから静かにしておく。
「よし、んじゃ食べっか!」
「うん!いただきまーす!」
「いただきます!」
「…いただきます。」
俺の味覚によくあう完璧なフレンチトーストに
ちょっと苛つきながらあっという間にたいらげた。
「…ごちそうさま。」
食器洗いは桃と俺が担当で、
終わったら三人で家を出る。
こんな朝にも慣れて、
今日の授業なんだったかな、なんて思いながら
すっかり通いなれた道を歩いた。
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