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箱に入っていたのはたくさんの折り紙。
「おねえちゃん、ペンギンさんつくれる?」
少女はピンク色に染まった真ん丸ほっぺを上げ、青色の折り紙を取り出した。
「ペンギンさん?作れるよ~。鳥さんと動物さんはお姉ちゃん得意なの」
差し出された折り紙を受け取ると、椅子から下りてその場でしゃがみ込む。生温かさが残る椅子をテーブル代わりに、折り紙の青色を上にして置いた。
「先ずは~、三角に折って、もう一回三角に折って、それを広げたらひっくり返す!じゃあ、ここまで美紀ちゃんも一緒にやってみようか」
「うん!やってみる!」
少女は、はしゃぎながらもう一枚折り紙を取り出し、私の後を追いながら真似をする。
人懐っこくて可愛い子。…理央達にもよく折ってあげたっけ、ペンギン。
姪っ子達の笑顔が、美紀ちゃんの笑顔と重なって見えた。
その隣に座っている海斗くんは勝手に折り紙を頂戴し、戦闘機並みの形の凝った飛行機を作り始めている。
「後は~こうやって、おめめをクルクル~って書いたら、ほら!ペンギンさんの出来上がり~!」
「みきも、できあがり~!!」
美紀ちゃんは、左手に完成したペンギン、右手に私のボールペンを持って「バンザーイ!」と天井に上がっていくような声ではしゃぐ。
「良かったな~美紀。こいつ、貧しくて男もいないけど、子供と遊ぶ事だけは得意なんだぞ」
海斗くんは悪戯気にそう言って、作った飛行機を面会スペースに向かって飛ばした。
「大きなお世話だってーの!こらっ!ここで飛行機を飛ばさない!人に当たるでしょーがっ!!」
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