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「ペンギンさん?ああ、ホントだ。上手に出来てる」
先生は二つの折り紙を手に取ると、少女の身長まで体勢を落とし柔らかな笑みを浮かべた。
「美紀ちゃん、もう胸はドキドキしないの?」
「うん。もうしない。もうすぐおうちにかえれるんだって!」
「そうか、良かったね」
先生は目尻に小さなしわを刻み、少女の頭をゆっくりと撫でる。
うわっ!なんですか?このキュン死ものの優しい笑顔は!!
こんな顔、病棟で見た事一度も無いんですけど…
…ちゃんと子どもの目線に合わせてあげるって、大切な事だと分かっていてもなかなかできる事じゃない。
大きな体を折り曲げてしゃがむ先生を見つめ、急に胸が熱くなった。
それにしても…
「先生はどうして美紀ちゃんを知ってるんですか?」
同じ循環器でも、小児科の患者は診ないはずなのに…。
「先週、僕が夜間外来当直してた時に来た子だから。小児科が混雑してたから、ヘルプで小児科の患者を何人か診たんだ。この子を入院させたのも僕」
先生はもう一度少女の頭をポンポンと優しく撫でると、スッと立ち上がった。
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