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「へ~。でも、よく名前覚えてますね。一度診察しただけなのに」
下げていた視線をスライドさせ先生を見上げる。
「僕は、一度診た患者の名前は忘れないから。特に、可愛い子の名前はね」
さり気無くそう言って、美紀ちゃんに目配せしククッと喉を鳴らした。
えっ!?先生、もしかしてロリコン!?
いやいや、これは冗談だな。
一度診た患者を忘れないのは、この人ならあり得るかも知れないが。
って言うか、高瀬先生ってこんなプレイボーイキャラだっけ?もっとお堅い人だと思ってたけど……読めない人。
美紀ちゃんはよほど先生を気に入った様子で、白衣のポケットを掴みながら話しかけている。
それに応え、微笑みを向け続ける先生。
「おーい、美紀そろそろ部屋に戻るぞー」
紙飛行機遊びに飽きたのか、海斗くんがこちらに向かって声を飛ばす。
「うん!」
大きな返事をして、美紀ちゃんが急いで箱の中に折り紙を入れる。
「おねえちゃん、またおりがみおしえてくれる?」
「うん!いつでも教えてあげる。今度はイルカさんとクジラさん作ろうか」
少女の小さな手を握り、満面の笑みで目を細めた。
「うん!またね、おねえちゃんとおおきなせんせい!」
上履きの音をペタペタと鳴らしながら、海斗くんの後を追う美紀ちゃん。
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