第4話 【屋上のひだまり】

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「へ~。でも、よく名前覚えてますね。一度診察しただけなのに」 下げていた視線をスライドさせ先生を見上げる。 「僕は、一度診た患者の名前は忘れないから。特に、可愛い子の名前はね」 さり気無くそう言って、美紀ちゃんに目配せしククッと喉を鳴らした。 えっ!?先生、もしかしてロリコン!? いやいや、これは冗談だな。 一度診た患者を忘れないのは、この人ならあり得るかも知れないが。 って言うか、高瀬先生ってこんなプレイボーイキャラだっけ?もっとお堅い人だと思ってたけど……読めない人。 美紀ちゃんはよほど先生を気に入った様子で、白衣のポケットを掴みながら話しかけている。 それに応え、微笑みを向け続ける先生。 「おーい、美紀そろそろ部屋に戻るぞー」 紙飛行機遊びに飽きたのか、海斗くんがこちらに向かって声を飛ばす。 「うん!」 大きな返事をして、美紀ちゃんが急いで箱の中に折り紙を入れる。 「おねえちゃん、またおりがみおしえてくれる?」 「うん!いつでも教えてあげる。今度はイルカさんとクジラさん作ろうか」 少女の小さな手を握り、満面の笑みで目を細めた。 「うん!またね、おねえちゃんとおおきなせんせい!」 上履きの音をペタペタと鳴らしながら、海斗くんの後を追う美紀ちゃん。
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