第一章 ー なる ー

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「あのさ…。」 「うん。」 「今度部屋の下見、付き合ってくれないか?」 なんだ、引っ越しかー? いい身分だな。 俺もそろそろこの2DK飽きたんだけど。 なんてことをもやもや考えながら更に要件を聞く俺。 「福島なんだけどね?」 「はい?! なんだ、転勤?」 「うん、まー…研修も兼ねてね? そんなに長くはないんだ? 半年くらいって話だよ。」 まじか…、ってかなんで俺イライラしてんの? 独身仲間で、気ままに会える奴は30を回ればじょじょに少なくなる。 大学時代の悪友たちのほとんどが、今や子持ちのパパさんだ。 休日は家族サービスが当然だし、こちらも自然と声をかけなくなる。 そんな中、しつこい程遊びに誘うのはこいつくらいだ。
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