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さっきから耳ざわりな音がする。 「…っ、うえっぐ…っ」 音?……いいや、声か。 …………。 いや。 そんなことはどうでもいい。 俺は今、この本に集中しなければ。 この紙の質感、インクの香り、紡がれた活字に。 「ふぇっ、…ふっ…ぐすっ…」 隣の少女が泣いているなんて余計な情報は、即刻捨てなければ。 「……うっさい」 だが、思ったより限界は早かった。 心に留める前に、口からもれていた。
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