始まり

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ここは、どこだろう?頭にもやがかかったようだ。意識がぼんやりとして、まともに状況が飲み込めない。 ただ分かるのは、今私は体を仰向けにして横たわっており、誰かが上にのしかかっているということ。 私に馬乗りになっているのは、たぶん男。 顔はよく見えず、表情も分からない。 こんな状況だというのに、体は言うことを聞かず、男から逃れることはもちろん、身をよじることさえできない。 突如、男が覆い被さってきた。男の顔が目の前まで迫る。眼前にあるというのに、そこだけ影が落とされたように顔が全く見えない。 その時、男が唇を私のそれに押し付けてきた。 ……キス?これは、キスだろうか。 思考が追いつく前に、男は私の唇を強引に割り開き、舌をねじ込んできた。 急すぎる展開に頭が真っ白になる。 そんな頭の片隅で、何でこんなに顔が近いのに顔がわからないんだろう、体を押さえつけられているのに痛くない、夢みたいに現実味がないな、なんて妙に冷静に考えている自分がいる。 そうだ、これは夢なのかもしれない。 そう考えている間にも男の舌は歯列をなぞり、舌を絡めて吸い上げ、口の中を好きに蹂躙している。 ぼんやりした意識の中、最後に感じたのは、男が口付けの合間に漏らす熱い吐息だけだった。
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