57人が本棚に入れています
本棚に追加
寒くなってきた私は障子を閉め、再び部屋に引っ込む。私にあてがわれたのは一番日当たりの良い部屋で八畳間、違い棚付き。
この家で一番いい部屋な気がする。
あまりの丁重な扱いに逆に恐縮してしまう。
母の家は資産家で、この大きな家も叔父さんが親から譲り受けたそうだ。
平屋の、純粋なる日本家屋、という感じ。廊下を歩くとギシギシと板がきしむ音がし、相当年季が入っているのがわかる。
「千尋ちゃん、ご飯できたよ」
その声に、はーいと返事をして居間へ入る。私の部屋は居間と続いており、襖を開ければすぐに移動できるのだ。
丸い食卓、いわゆる『ちゃぶ台』というやつだろうか。その上にはもう朝食の支度がなされている。
ご飯、味噌汁、ひじき、焼き魚。今日もお店で出てくるみたいに美しく盛り付けられていて、つい関心してしまう。
最初のコメントを投稿しよう!