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「ちょっと、わたしの話を聞いていなかったのかい? それを開けた人間は必ず死んでいるんだよ!」
女は、何とか男を制止しようと言葉を荒らげるが、何故か口以外を動かそうとはしなかった。
男はそっと木箱を持ち上げる。どうやら、触っただけでは何もおこらないらしい。
「悪いこと言わない。そこまでにしておきな。あんただって、わざわざ死ににここへ来たわけではないだろ?」
男は目を瞑り、今日までの自分を振り返る。
この呪いのびっくり箱の存在を知り、これを探すために仕事を辞め、家族も捨ててきた。
今、手の中にあるこの箱を開ける事こそ、自分が追い求めてきた答えではないだろうか?
開けたい。いや、開けなければならない。その先に、死が待っていようとも。
男は目を開き、箱の蓋に手をかけた。
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