14人が本棚に入れています
本棚に追加
これで何人目だろうか?
女がこの場所に立って数百年。何人もの人間がここを訪れ、びっくり箱を開けようとしてきた。
その度に思いとどまるように声をかけてきたのだが、誰一人として女の忠告に耳を傾けるものはいなかった。
女にはここに立つ前の記憶がなかったが、数百年も今いる場所から一歩も動けないでいることから、自分が生身の人間でないことは理解している。
もしかして、自分の声は生きている人間には届かないのではないのだろうか?
いや、それどころか、自分がここにいることに、誰も気がついていないのではないだろうか?
そこまで考えて、女は慌ててその考えを打ち消した。
「そんなはずはない。だって……」
最初のコメントを投稿しよう!