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「おーいっ!当麻~っ!」
俺が学内の施設を移動するために早足で歩いていると、場違いな明るい声がした。
俺の名前も当麻だが、この学内にあんな気さくに俺に声を掛けてくる奴はいないので、ここは無視する。
急いでいるのだ!!
「あ、無視すんのな…って、無視すんな!!」
さっきの声の主が誰かを追いかけ始めたようだ。
さて、足りない資料を集めに資料館に急ごう。
「おい、聴こえてないのか!?」
いきなり後ろから肩を捕まれて、力負けした俺の体はバランスを崩して後ろ向きに傾く。
受け身を取ろうと体をひねってみたが…
「わっ!大丈夫か?当麻っ」
俺は受け身体勢になる前に、声の主にガッチリ支えられてしまった。
「力入れすぎたみたいだなっ悪い。でも無視するお前も悪いんだからな!」
「は!?」
思わず疑問符を浮かべて立ち上がり振り向いた俺の前で、声の主は口をとがらせた。
「えっ!?秀?」
「他の誰に見えんだよ?」
そこにドヤ顔で立っていたのは俺の友人、秀 麗黄(シュウ レイファン)だった…。
「まず、何でここにいるんだ。」
「そりゃあ…」
答えようとした秀を制止する。
「それは後で聞く。俺の一人言に突っ込むな!」
「一人言なのかよ~」
秀は疲れた顔になったが、とりあえずと持ってきた物を差し出した。
「お土産~!」
「ああ…ありがとう…」
受け取りつつブツブツ考え出す俺を見て、秀がため息を吐く。
「その様子だと、お前オレが来るの忘れてただろ!!」
「…したか?約束…?」
「急だと時間作れない~とか言うから、一ヶ月も前に約束したんだぞっ!!」
「した…のか?」
「ああ。まあ~始めに来校者予約はしてくれてたみたいだから、お前の名前とオレの名前言っただけでパス発行してくれたぞ!
管理が優秀で良かったなぁ当麻♪」
「暗にバカにしてるだろ~?」
「天才なくせに少し抜けてるトコとか、オレは好きだぜ♪」
「…でもここでは困る!」
「へ!?」
「学内ではバリバリの天才肌で通ってるんでね。」
「そっか~約束忘れる位天才は忙しい…と!?」
「忙しい…そうだ資料!!」
思い出した俺が慌て資料館に飛び込むと、秀が追いかけて来た。
「そんなに忙しいのか…テストの追い込みみたいな感じだな?」
「この歳でテストは無いだろう?レポート作成だ!」
「似たようなもんだろ~」
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