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「あ、七月くん!見て見て」
彼女がはしゃいだ声でそう僕に呼びかける。
その声色さえ、どうせ作ったものなんだろう?なんて考える僕はやっぱりひねくれものなんだろう。
「虹!すごく綺麗じゃない?」
そう言ってかわいらしく微笑んだ彼女が、昔見た女の子とかぶって見えて、
僕は思わず、、、
「 。」
「で、別れたと?」
皮肉っぽい、嘲笑じみた声色を混ぜたような声色で、相川大河アイカワ タイガはくちびるをゆがませていた。もちろん、三日月形に。
骨ばった指先で僕の腫れた頬をつつかれて、思わずうめき声を漏らした。
大河は僕と違って、いかにも男らしくてワイルドな風貌をしている。
しかも、服装といい髪型といい今時の若者らしい。でもひょろひょろ優男風ではなく、高校時代はバスケットボール部に所属していたことが関係してるのか筋肉質な体つきをしている。
僕と彼が並んだら、前者は草食系男子、後者は肉食系男子、と呼ばれるのだろう。
必要最低限の筋肉とたれ目が影響してか、どうやら僕は男性らしさに欠けるらしい。
それでも、高校時代から現在にかけて、彼女という存在は数名いた。
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