第1話

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そう。「いた」んだ。 過去形。 「おまえ、長く続かないよなあ」 大河がのどで笑う。 「忘れられない女でもいるわけ?」 大河のその言葉が、酔いがまわった僕の頭に錆のようにこびりついた。 いるかいないかで言うと、いる。 そう答えた気もするし、答えなかった気もする。 心地よい眠りの波に、僕はそのまま身を任せた。 大河の呆れた笑い声を夢うつつに聞いた。
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