予兆

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――翌日。 市川さんは終日外回り。 ホッ、と安心するのも、これで何回目なんだろう。 イライラはするものの、今日は動揺もなく一日無難に終わった。 でも頭の中は、市川さんのここ数日間の珍行動は一体どうしたかったんだろう、なんてハテナマークでいっぱいだった。 一日がなんなく終えて、帰宅。 納得がいかないまま、ボーッとファッション雑誌をペラペラとめくる 全く頭に入らない。 その時、携帯が鳴った 一瞬、ビクッとなって、おそるおそる鳴り響く携帯を手にしたら【倉科千秋】の文字に 「お疲れ……」 「あれ?どーしたの?」 やけに明るい声の千秋に、相対して疲れきった私の声。 「別に。」 「あ、ねぇ?金曜日開けておいて欲しいんだけど。」 ……今度は、なに? あー、なんか私。このまま枯れちゃうかもしんない。 上条さんとはちっとも進展がないし(何もしてないのに、あるわけがない) 彼氏に別れを告げるのも腰が重い。 「ちょっと、美紗緒?聞いてる!?」 「えっ!? あ、なんだっけゴメン!」 「金曜日!! 乃村さんと一緒にご飯!!」 の、乃村さん!? 突然、なんで!? 「へっ!?」 「ちょっともう。どうしたの? だから、付き合う事にしたんだってば。乃村さんと。 美紗緒にも紹介したいし、乃村さんが市川さんにはもう話してあるみたいだから。」 え、ちょっ ええ!? 「早くないっ!? ってか市川さん!?」 乃村さん、これまたうちの会社の営業の人なんだけど。 実は、上条さんの同期の営業だ。 どうやら千秋は先日の合コンで乃村さんと出来ちゃった様子で。 そう言えば、乃村さんがどーのこーのだとか、そんなメール来てた……。
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