4460人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
明るい商店街を抜けて、裏路地を歩く。
街灯の光りに、二人の影がくっきりと道に浮かんでいて。
あれ、こっち、駅から反対。
深夜、零時。
終電はまだある、……のに。
私と市川さんの歩みは、逆方向へ。
ちょっと、コレ。
どうなってる状況?
私の身体には、慣れないアルコールがちょっと回ってて。
ほんのり頭がぼやけてて。
市川さんが歩く方向に、足が自然についていく。
千秋と乃村さんと居酒屋で合流したけど、時間も時間で直ぐに解散。
そんでもって、市川さんの住むマンションがここから歩いてすぐだなんて話をしていたから、何となく黙って頷いてたら、
どういうことか、気が付いたら市川さんのマンションの前まで、来ちゃってた。
話題は何故か、書籍好きな市川さんのオススメ話。
「うちにいっぱいあるから、何か持ってけば?」
いや、何か。
ちょっと無理がある言葉じゃない?
っとか考えながら、実は緊張して声が震えてるかも。私。
「……じゃあ、なんか借りようかな」
ホントは、市川さんが何を考えてるのか知りたくて。
流れに身をまかせてた。
最初のコメントを投稿しよう!