4459人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
私、何しにきたんだ?
山登りの準備を始める市川さんを見て、冗談じゃなかったのか、と顔を洗ってる背中を見つめて、溜め息がでた。
その時、
――ピンポーン
何とも間抜けな、インターホンの音が鳴り響いた
無言でスタスタと玄関に向かった私は、
「はい」
ガチャリ、と
無表情でドアをあけた
「えっ……ええっ!?
なっ、成ちゃん!?」
玄関先には、驚いた顔の仁科君。
「なんで、成ちゃんがここにいるの!?」
「……さぁ。」
私はプイと横を向くと、何ともない顔をしている市川さんを見た
ハラたつ。
「じゃあ、私もそろそろ帰ろっかな。」
ああ、もう、全部イヤ。
ダッシュで御布団を片して、逃げるようにマンションを後にした。
夏の日差しは、早朝なのにもかかわらず、じりじりと私を照りつけた。
あー、何やってるんだ私。
睡眠不足で頭が妙にクラクラする。
今朝がた市川さんがスキかも、なんて血迷ったのも、気のせいかも。
だって、苛立ちしか今の私にはない。
あー。ヤダヤダ!!
早く帰って、寝ちゃおう。
最初のコメントを投稿しよう!