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それ以上、会話も弾まず。 だって田所をひけらかすポイントが何もなさすぎる。 さほど可愛いかといわれたら、……。まぁ、いいか。それは。 「あ、そういやさ。上条辞めるみたいなんだけど。 聞いた?」 あまりにも唐突に。乃村さんは俺の知らない情報を口にした 「はぁ、知らなかったですね、それ。」 辞めんのか。 引き抜き、かな。やっぱり。 そんなことを考えていたら、 「文里と別れたんだってよ。長かったから、文里のやつ離婚すんのかと思ってたんだけどなー」 ちょ、乃村さん、その情報要らない。 「……へぇ」 「旦那金持ってっからなー、ま、上条ごときの一リーマンなんて、要らないってか」 アハハハ!と笑いとばす乃村さんの声が、どこか遠くで聞こえてるみたいな錯覚におちいった 重なる、自分 俺がアイツに惹かれたのは、きっと同類の匂いを感じとったからだ。 アイツも俺も。結局は自分が可愛くて仕方ない。 他人なんか、どーでもいいんだから
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