◆ #2

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マンションの駐車場について、疲れた体をハンドルに預けた。 ふと、こんな時に浮かんだのが、成田と上条さん。 何してたんだ、アイツ。 気になったが最後。指が勝手に動いて、気が付けば成田にコール。 無意識に近くて、かなり鳴らした気がする 「何ですか」 成田らしからぬ、不機嫌な声。 「何してんの?」 「家にいますけど?」 その瞬間、はりつめていた気分が、ふっと軽くなった気がした。 「何早くに返されてんの?」 嫌味が言えるくらい、回復。 「そういうんじゃないですから」 成田の口からその言葉が出てきて、さらにまた調子づいてきた。 ――なんだ。 「お前もたまには詰められとけって」 「意味わかんないんですけど」 ムキになってそう言う成田に、笑いが込み上げる。 なんだ、ちゃんと家に帰ってたのか。
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