◆ #2

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あれから何時間たってるって思ってるんだ。 「……」 「……一哉? 今どこにいるの?」 掠れた、声。 「……ゆっくりまた話そう」 「ゆっくりって? ――何を?」 「電車、乗るから。またかける」 そう言って、一方的に電話を切った 上手くいかない。 なにも、かも。 見上げたマンションをまたしばらく眺め、きびすを返した 背中から遠ざかる、マンション。 成田にも、後ろめたくて。 寒空の下、また来た道を戻って歩いた                -557
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