決断

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それでも。 ――私は顔に出すわけには、いかない。 とっさに知らないフリを貫こうと、表情を緩めたまま。 最悪の空気を作り出してしまった空間は、ものの数秒で風穴をあけた 「どうぞ」 開、のボタンに指をあて、御客様の田所さんに先に出るように手を差し出した 最後まで田所さんの声を聞くことはなく、 商談ブースへ向かう田所さんを見届けると、私は自分の部署へと歩き始めた。 心なしか彼女の背中が小さく見えた 意味のない、戦いだ。 こんなもの、いらない。 田所さんにあの顔をさせたのは、私 自分が第三者なら、悪いのは男で、女同士がこんな醜い争いをしてるなんて馬鹿げた事だとわかるのに。 ――当事者というものは、こんなにもそれを客観的には見れない
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