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｢すまないなー。｣
ブースには向かい合わせで座る出野課長と田所さん。
テーブルの上には書類が並んでる。
｢彼女、元うちの部署にいた成田です。｣
緊張しているのは私だけか。出野課長のにこやかな笑顔に、ちょっと肩透かし。
田所さんといえば。
呆気にとられたような、キョトンとした、顔。
さっき会った時に見たような表情は、ナイ。
｢お世話様です｣
軽く一礼。
田所さんの顔は、視点が定まってなくて、ふわふわとしてる
｢悪いけど、これコピー頼むわ｣
差し出された書類を受けとり、何事もなくブースを出ようときびすを返した時
｢彼女優秀でね、すごくいい奴なんですよ｣
背中に響く、出野課長の声。
｢……そうですか｣
二人の表情は、私には見えない。
複雑な気持ちが交差する。
――出野課長。
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