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コピーを終えて、ブースへとまた戻る。
「ありがとう、ちょっとこれ確認頼む」
出野課長の隣に腰をおろして、田所さんと向かい合うようにして机にある書類に目を通す。
「大丈夫です」
「じゃ、こっちも頼む」
こうやって出野課長と肩を並べて仕事をするのは初めてだ。
よく見れば出野課長は仕事も出来て、見た目も全く悪くない。
――でも、浮いた噂も聞いたこと、ないな。確かに。
夜の街は好きだけど。
なんて、隣にいてこんなに安心する存在って、やっぱり出野課長は、凄い。
「完了」
書類をポン、と机の上に揃えて。
出野課長がそう言った
「じゃあ、私は」
「成田。助かった」
「――いえ」
「困ったことがあったら、俺に言えよ」
その瞬間。
たったそれだけの言葉に、瞳が熱くなった
――出野課長は、きちんと私を見てくれていたんだ。
「ありがとうございます」
「ああ、お疲れさん」
相変わらず、田所さんはきょとんとした顔をしていて。
その姿にも、また。
――胸が痛くなった。
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