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あと、1週間。 早く過ぎて欲しい、って気持ちと。 ――なんか、淋しい。 そんな複雑な気持ちが交差する。 「成ちゃん、ランチ行きませんか」 ここ最近。ひっきりなしにランチに誘われるのは、もう私が辞めるのが公(おおやけ)になっているから。 デスクに向かっていた身体を椅子ごとクルりと回せば、目の前には土井さん。 「行きます!」 すくっ、と立ち上がって土井さんと肩を並べる 「淋しいですね」 「――ははっ」 二人、会社から出てゆっくりと歩く。 「あ、そうそう」 突然。 思い付いたみたいに、土井さんが呟いた。 「田所さんも、来月。百菱辞めるみたいですよ?」 「――え?」 「少し前に、新しい担当の方が来てましたよ。 なんだか実家に戻る、とか――」
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