決断

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それは、突然の事だった。 取引先の接待。という名目で会社をでたけれど。 紀井さんとではなく、呼ばれたのは私だけで。 普段からよくしてもらっていた取引先の部長に呼び出され、多少の違和感。 その、向かった先での事だった。 松濤にある、敷居の高そうなフレンチ。 普通であれば、お店のセッティングは、こちら側がやらなければいけないというのに。 「呼び出して悪かったね」 角がなく、人のいい部長にそう声をかけられ、何やらおかしいな、とは感じていたけれど。 他愛のない会話が続いてすぐのこと。 「成田さんは今の会社にずっといるつもり?」 「はい?」 「いや、今の会社で満足してるのか、って。」 「――。それは、どういう」 一瞬。言葉に詰まってしまった。
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