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春が来ていた まだ肌寒いその気温に、手放せないトレンチコート。 1度来た暖かな陽射しを受けて、桜のつぼみが花びらを開かせた 淡い薄紅の、花びらが、舞う。 仕事を終えて、地下鉄を上がる。 マンションまでの道のりに、1本の大きな桜が夜空に浮くように白く輝いていた。 背景には、輝く下弦の月。 鞄の中で。 ――小さく奏でる、着信のメロディ。
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