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――ーー
会社を出る頃に田所からの返信を受けて、
今日も曖昧にして終わり
考えるのもわずらわしくて、そのまま真っ直ぐに村上のマンションに帰る
そうそう。居候期間もタイムリミットだ。――いい加減、次に住む場所を探さなきゃいけない
とは言うものの、まだ来年の春先まで時間はある。
帰宅して、リビングにいた村上と、他愛ない会話。――気楽すぎて、何も考えなくてすむこの環境は
なかなか惜しいよな。
「あー、寝るわ。」
時間も時間。明日も朝が早い。
「おやすみ」
まだ起きているつもりなのか、ソファに横になってる村上の頭から軽い声が抜けてきた
リビングを出ようとした瞬間。
鳴り響く、メールの受信音
ディスプレイには、【美紗緒】
ビクッとして。ゆっくりとフォルダーを開いた
【逢いたいです】
目頭が、熱くなる。
とっさに玄関口まで走っていくと
「あれ?イチどこいくの?」
リビングから顔をのぞかせた村上の声に、ハッと我にかえった。
「……タバコ、買ってくる」
何、今さら。
また、携帯の画面に目を向けて。
逢いたいです、って。反則だろ、お前。
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