◇ #2

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「今、いる。――いえ、仮にも同棲までしていた彼女がいたのに、 ――もっと、大切に出来ないんですか?」 地下鉄。入り口。 もうすぐ終電だというのに、人の波は絶えない。 「どういう意味?」 アルコールの入った顔つき。 紀井さんの言葉が、軽くて宙をフワフワしてるように思えた 「一人の人もろくに大切に出来なくて。終わりも適当で。 ――そんな人、嫌ですっ」 カチリ、と何かが私の中で型にハマる音がした ――わかってた。 そんなの。 でも、イチさんは違う、って。――夢を見たかっただけ。 紀井さんのやってることと。 ――イチさんのやってることは、全く同じ、いや。 イチさんのほうが。最悪だ。
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