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「今、いる。――いえ、仮にも同棲までしていた彼女がいたのに、
――もっと、大切に出来ないんですか?」
地下鉄。入り口。
もうすぐ終電だというのに、人の波は絶えない。
「どういう意味?」
アルコールの入った顔つき。
紀井さんの言葉が、軽くて宙をフワフワしてるように思えた
「一人の人もろくに大切に出来なくて。終わりも適当で。
――そんな人、嫌ですっ」
カチリ、と何かが私の中で型にハマる音がした
――わかってた。
そんなの。
でも、イチさんは違う、って。――夢を見たかっただけ。
紀井さんのやってることと。
――イチさんのやってることは、全く同じ、いや。
イチさんのほうが。最悪だ。
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